量子ホール状態では、バルク状態は不純物ポテンシャルのまわりに局在し、伝導に寄与しないため、エッジチャネルが電流を運ぶことになる。試料の両端のエッジチャネルは、互いに逆向きの電流を運び、同じ側のエッジチャネルも空間的に離れていればエッジ間散乱が抑制され、断熱輸送が可能となる。
実際の試料端では、閉じ込めポテンシャルが急峻に立ち上がっているため、試料端に沿って伝搬する電子状態が存在する。これが量子ホールエッジチャネルで、古典的描像では電子のスキッピング運動に相当する。

エッジチャネル

量子ホール効果の測定

 二次元電子系を下記のようなHall bar形状に加工し、極低温まで冷却した後、面に垂直方向の強磁場を印加すると、ホール抵抗値が量子価値(h/e2)の整数(ν)分の1に留まるホールプラトーが観測される(量子ホール効果)。また、そのときの縦抵抗はシュブニコフ-ドハース振動という明瞭な振動を示し、量子ホール状態ではゼロになる。

量子ホール状態の解釈

 磁場を変化させることで、二次元電子のフェルミエネルギーの位置が変化する。つまり、量子ホール状態は、ランダウ準位のギャップ中にフェルミエネルギーが存在している状態であると解釈される。

分数量子ホール効果

 ホール抵抗値がh/e2の整数分の1のところで出現する整数量子ホール効果とは異なり、奇数を分母に持つ分数分の1の領域においてもホールプラトーが観測される(下図のν=2/3,3/5,..など)。これらは分数量子ホール効果と呼ばれている。分数量子ホール効果は、電子間のクーロン相互作用が不純物ポテンシャルによる電子の局在化に打ち勝つ場合に観測される。つまり、高品質のヘテロ構造によく見られる現象である。
 二次元電子系は、z方向の運動の自由度が抑制されているため、面に対して垂直方向に強磁場を印加すると、電子の面内運動が量子化されて離散的なスペクトルとなる。この量子化されたエネルギー準位をランダウ準位と呼ぶ。

ランダウ量子化

量子ホール効果

量子ホール効果とシュブニコフードハース振動

縦抵抗の変化は、電子がしたのランダウ準位から順番に充填されていく様子に相当する。
[νをランダウ準位充填率と呼ぶ。]

分数量子ホール効果の例